気づかずうちに歯ぎしりしてしまっている
愛知県名古屋市瑞穂区のルクス歯科・矯正歯科 瑞穂院歯科医師 院長 伊藤聖将です。
皆様、歯ぎしりや噛みしめの癖はありませんか?
そう聞くと9割以上の方が「やっていない」と答えます。
しかし、我々歯科医、または歯科衛生士が患者さんのお口の中を診てみると、歯が極端にすり減った方を見かけることがあります。
それは歯ぎしりをやっている証拠なのです。
歯ぎしりはたいてい睡眠中に行っていることが多いです。
気づきにくい原因は一人で寝ていることが多いようです。
一緒に寝ている方に聞いてみたり、アプリを使用してみるとわかることがあります。
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さて本題に戻ります。
睡眠中に歯ぎしりを起こしてしまう日本人の割合は5~15%と言われており、決して珍しいものではありません。
睡眠中の歯ぎしりは、自ら気づくのが難しいため、知らず知らずのうちに、習慣的に行っていることも珍しくありません。
歯ぎしりには、上下の歯を強く噛み合わせて左右に擦り合わせギリギリ・キリキリと音がする「グライディング」と、音をほとんど立てず奥歯を強く噛みしめる「クレンチング」、そして上下の歯を小刻みにカチカチ噛み合わせる「タッピング」の3つのタイプがあります。
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ではなぜ歯ぎしりが起きるのでしょう?
実は歯ぎしりが起こるメカニズムについては完全に明らかにはなっていません。
ただ、大きく考えられる要素、原因として、噛み合わせの悪さ、遺伝、飲酒、喫煙、逆流性食道炎や睡眠時無呼吸症候群などの疾患、抗うつ剤の服用、ストレスなどが考えられています。
そのなかでもストレスが原因と思われる症例が多いようです。
つまり、歯ぎしりでストレスを発散していると考えられています。
このことを証明する、興味深いマウス実験があります。
マウスを仰向けにして動けない状態で固定し続けると、ストレスにより100%のマウスが胃潰瘍になったのです。
それで、人の口に木片を噛ませて、食いしばりができるようにしたマウスを同様の状態にすると、胃潰瘍になったのは66.7%だったということです。
ストレスを受けた心身を守るためまたは発散するために、歯ぎしりを行っているとも考えられるのです。
歯ぎしりがストレス解消になっているとはいえ、やり過ぎはよくありません。
通常、食事をするときの噛む力は軟らかい現代食では1kgほどですが、歯ぎしりで食いしばる時にかかる力は体重の約2倍にもなるのです。
これは、歯でクルミを割ることができる力に相当する力といわれますので、身体への負担は大きいのです。
噛み続けることで顎や頭の筋肉を酷使するため、顎の痛みやだるさに加え、偏頭痛や肩こり、目の奥まで痛みが起こり、顎の関節症にまで発展してしまうこともあります。
また、強く歯を擦り合わせたり食いしばったりすると、摩耗して折れたり、さらには歯が揺らされることで、歯周病が悪化したりする可能性も大きいのです。
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歯ぎしりをしやすいのはどのような人なのかというと、まずは、眠りの浅い人が挙げられます。
歯ぎしりは、眠りが浅くなっているレム睡眠時に起こることが多いようです。
また、睡眠時無呼吸症候群や胃酸が食道に逆流する逆流性食道炎にかかっている人は深く眠ることができず、歯ぎしりをしやすい傾向があります。
性格的には、競争心が強い人、いつも時間に追われている人、目的を達成するためにとことんやろうとする人、ストレス発散がうまくできない人などが、歯ぎしりをしやすいようです。
心身の疲れやストレスが、強い歯ぎしりとして出てしまわないように、少し休んだり息抜きをしたりするといいでしょう。
他にも、過度な飲酒や喫煙を控えるなど、規則正しい生活を送るように今一度、生活習慣を見直すことも必要かもしれません。
歯ぎしりの治療方法として、自覚のある場合日頃から気をつけることや、マウスピースを作成したり、ボツリヌス(タンパク質)を咬筋(食いしばるときに出っ張るエラの筋肉)に注射したり、歯を矯正したり、歯を削る(咬合調整)ことなど挙げられます。
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